お猿の恩返し


むかしは、いろいろな動物たちも人もいっしょに暮らしていたようなもので、人が山のものを食べたいときは山へ行って動物が野菜をほしければ畑にきて取って食べる時代もあったそうです。

笠島村(愛島)に情けの深いおじいさんとおばあさんが住んでいました。子供がいないので、動物たちと仲良くしていました。動物たちが庭にきては遊んだり、おばあさんもおじやをやったりしてくらしていました。

あ る暖かい日におじいさんとおばあさんは「今日は暖かいから、お正月のだし魚でも釣ってくるかな。」といって二人で出かけました。川岸で魚を釣っていたら、 川の向こう岸のほうでおかしな叫び声がするので二人で行って見たら、小猿が水に流されていくのです。おじいさんは急いで泳いでいって猿を助け、一生懸命看 病をしてやりました。二、三日してだいぶよくなりましたが、まだ山へは帰せないと思い、おじいさんたちと同じ食事をさせていました。五、六日たったら猿は 元気になって遊ぶようになったので山へ送っていきました 。

おじいさんとおばあさんは「猿も山へ帰ったことだし、お正月も近くなったから町 へ買い物にでもいくかな。」と話をしていたら、この前の小猿がやってきて「おじいさん、おばあさん、先日は心配をかけて助けていただきありがとうございま した。うんとごちそうしたいので迎えにきました。」と小猿にすすめられていきますと、猿たちは大勢出迎えてくれて、たいしたごちそうを作って待っていまし た。夕方になったので帰ろうとすると、これまた猿たちは大勢でお土産を手に手に持って、家まで送ってくれたそうです。

(*)おじや・・・雑炊

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