なぞの女の人からの贈り物
むかしむかし、東多賀村(閖上)に気のやさしい、五兵じいさんと呼ばれるおじいさんがいました。夜釣りが好きで、毎晩のように夜釣りに出かけました。
ある夜のことです。いつもは何か釣れるのに、その晩はえび一匹釣れず、舟を回して帰ろうと後ろを見ると、遠くのほうから青く光るものがだんだん五兵じいさんのほうへ飛んできて、舟べりにきました。
やさしい五兵さんなので、青い光るもののそばへいってみたら女の人でした。
五兵さんは「どうした。」と聞いてたら、女の人は
「わたしは半年前にお産を終えて、 二十一日過ぎたら子供をおいて実家へ帰れと言われました。子供のことばかり考えていたら病気になり、こんな姿になってしまいました。おじいさんにお願いがあります。」
「何ですか。」と五兵じいさんが聞いたら、
「あそこの家の前まで連れて行ってくれませんか。」 と言うので連れて行ってやったら、ていねいにお礼を言って見えなくなりました。
五兵さんはしばらくして舟を見ると、さっきの女の人が乗っているではありませんか。
「子供に会ってきたか。」と聞いたら、「会ってきました。」と言って小さな包みをおじいさんに渡し、消えてしまいました。
家に帰って五兵じいさんが包みを開けてみると、今までみたこともないかざりものだったそうです。