鬼がわらのおはなし
むかしむかし、高柳村(閖上)に長者様といわれる大金持が何軒もありました。かわら屋根の家なので棟の両端に大きな鬼がわらを飾っておいたそうです。
ところが、高柳村の隣村は財産家ばかりそろっていましたが、わらぶきの家だけでかわら屋根の家が一軒もないのでとてもうらやましがっていたそうです。
何か寄り合い等があるとみんなで「かわら屋根はいいな、いつか鬼がわらを盗んでくっかや。」と冗談話しをしているうちに本気になってしまい、若者たちは雨の強くふる晩に、はしごをかついで三、四人で出かけました。
はしごをかけて屋根の鬼がわらを持ち上げようとしたら、鬼がわらがうなり出しました。若者たちは、びっくりして帰ったそうです。
何としても鬼がわらがほしいので、今度は、星空の美しい晩に、またはしごをかけて屋根に登ろうと思ったところ、鬼がわらは、いくつもうなり出し村中にひびいてしまい、びっくりして走って帰ったそうです。
何日かたって若者たちは、高柳村へおわびにいったそうです。そこの主人に心よく許してもらい、ごちそうされたそうですが、若者たちは、はずかしくなって走るようにして帰りました。若者たちも反省して人をうらやむことなく、かわら屋根にして両端に鬼がわらを飾ったそうです。